植物防疫ニュース 平成23年12月16日
(速報 No.16) 栃木県農業環境指導センター
トマト灰色かび病の発生が多くなっています!
 12月上中旬の巡回調査の結果、発生ほ場率は13.0%(平年5.0%)、発病株
率は0.9%(平年0.2%)で、過去10年間で発生ほ場率は2番目、発病株率は最
も高い値です。ここ数年は、年内から灰色かび病が多発し、その後の発生が止まらない
傾向にあります。
 気象予報によると、向こう1ヶ月は平年に比べ、降水量が平年並〜多く、日照時間が
少ない〜平年並の見込みで、今後の発生増加が予想されます。
表1
 
越冬・冬春トマトにおける灰色かび病
の発生状況
調査時期  発生ほ場率(%) 発生株率(%)
本年 平年 本年 平年
10月 0.0 3.3 0.0 0.1
11月 5.6 0.0 0.0 0.0
12月 13.0 5.0 0.9 0.2
1月 11.3 0.9
2月 19.4 2.1
3月 32.2 3.8
4月 50.5 9.7
5月 55.1 8.2
1 防除対策
(1)灰色かび病の発生しやすい条件は15〜23℃と比較的低温で、多湿条件であるため、
  ハウス内の温度及び湿度管理に注意する。特に曇雨天日が続く場合は、循環扇、暖
  房機を稼働し、ハウス内の湿度を下げ、植物体表面の結露を除去する。
(2)灰色かび病は腐生性が強いため、発病果実・葉、枯死葉、花弁等は、すみやかに
  除去し、ハウス外に持ち出して適切に処分する。
(3)ボトキラー水和剤を使用する場合は、低温条件下では効果が現れにくいので、10
  ℃以上の温度を確保するよう努める。また、本剤は予防剤であるため、発病後は化
  学農薬中心の防除に切り替える。
(4)曇雨天時は液剤の使用を控え、くん煙剤等を使用すると過湿防止に有効である。
(5)同一系統薬剤の連用を避け、系統の異なる薬剤とのローテーション散布を行う。
表2 トマト灰色かび病に登録のある農薬例(平成23年12月12日現在の登録状況)
系統名 薬 剤 名 希釈倍率等 使用時期/使用回数
ベンゾイミダゾール系 ゲッター水和剤 1,000倍〜1,500倍 収穫前日まで/5回以内
アニリノピリミジン系 フルピカフロアブル 2,000倍〜3,000倍 収穫前日まで/4回以内
抗生物質 ポリオキシンAL水溶剤 2,500倍〜5,000倍 収穫前日まで/3回以内
ジカルボキシイミド系 ロブラールくん煙剤 ※1 収穫前日まで/3回以内
その他
カンタスドライフロアブル 1,000倍〜1,500倍 収穫前日まで/3回以内
セイビアーフロアブル20 1,000倍〜1,500倍 収穫前日まで/3回以内
ベルクートフロアブル      2,000倍 収穫前日まで/3回以内
※1 くん煙室容積300〜400m(高さ2m、床面積150〜200u)当たり100g(50g×2個)
☆トマト灰色かび病の薬剤感受性検定結果については、当センターHPを参照下さい。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用ください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012