植物防疫ニュース(速報No.17)

 

平成24年1月24日

栃木県農業環境指導センター

いちごのアザミウマ類の発生に注意しましょう!

 

当センターの1月のいちご本ぽ巡回調査の結果、アザミウマ類がやや多く発生していました(発生ほ場率:8%、発生株率:0.7%)。また、昨年は秋季にアザミウマ類の発生が多かったことから、今後春先からの多発生が懸念されます。

被害果実はさび状を呈して商品価値を失い、多発時には肥大が停止します(写真1,2)。被害は、3月から増加し、アザミウマ類の侵入が増える4〜5月に顕著です。ハウス内で越冬した個体により、早い時期から被害が発生することもあり、特に秋に発生したほ場で注意が必要です。アザミウマ類は2月頃から徐々に増加するため(図1)、適切に防除しましょう。

テキスト ボックス: 寄生花率(%),テキスト ボックス: 発生ほ場率(%)

図1 アザミウマ類の発生消長(平成23年度)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【防除対策】

 

☆防除の判断について

・アザミウマ類成虫は花に寄生し、その幼虫が果実を加害する(写真3、4)。花をよく観察し、発生を確認する。

・いちごのヒラズハナアザミウマの要防除水準は寄生個体数が10/100花、または寄生花率が9/100花の時である(香川県農業試験場 研究成果 43号)。

・増殖が速いため、防除のタイミングが遅れないよう注意する。

 

☆防除薬剤について

・県内各地でヒラズハナアザミウマのモスピラン水溶剤に対する感受性低下がみられる(農業環境指導センターホームページ参照)。散布後は必ず効果を確認すること。

・ミカンキイロアザミウマには、IGR剤散布約5日後のスピノサド水和剤(商品名:スピノエース顆粒水和剤)の散布が有効である(宮城県農業・園芸総合研究所 普及に移す技術 85号)。

・アザミウマ類の防除薬剤には、ミツバチや、ハダニ類の天敵であるカブリダニに対して影響のある剤も多い(表1)。防除指針やパンフレットなどを参考にすること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真1 着色後の被害果実          写真2 全体が加害された果房

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


写真3 花に寄生するアザミウマ類      写真4 果実を加害する幼虫

 

表1 いちごのアザミウマ類(一部ミカンキイロアザミウマ)に登録のある主要な薬剤と

ミツバチおよび天敵カブリダニへの影響(平成24年1月16日現在)

詳しくは、農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問合せ下さい。

また、当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用下さい。

(п@028−626−3086)