植物防疫ニュース(速報No.2) 平成23年6月1日
栃木県農業環境指導センター
なしのナシヒメシンクイの発生に注意しましょう!
 本年はナシヒメシンクイ越冬後成虫の発生量が多く、地域によっては例年より早い時期からフェロモントラップに多くの成虫が誘殺されました。那須烏山市の調査地点における誘殺数は、過去5年間で最も多くなっています(図1)。
 越冬後成虫は、なしだけでなくサクラやウメなどバラ科樹木の主に新梢に産卵し、そこから発生する幼虫が芯折れを引き起こします。
 当センターの5月の巡回調査では、一部のなし圃場で芯折れが散見されました(写真1)。新梢に寄生した幼虫は6月中旬頃から羽化して本年第1世代の成虫となり、なし圃場に飛来して果実に加害するおそれがあります。果実に産卵された卵からは6月下旬頃に第2世代の幼虫が孵化し、主になしの果頂部から食入し、果実の表面の穴から糞を排出します。こうして加害された果実は商品価値を失います。
 
◎防除対策
・ 幼虫に対する防除適期は、成虫発生のピーク到達後7〜9日である。当センターにて発表するフェロモントラップ誘殺結果に注意し、適期防除に努める。
・ 園内をよく観察し、果実や新梢に食害が見られた場合、速やかに摘果・せん除し水漬け後に土中に埋設する。
・ 発生・食害状況を確認し、必要に応じてノーモルト乳剤(1000~2000倍・総使用回数2回以内・収穫前日まで)、サムコルフロアブル10(5000倍・総使用回数3回以内・収穫3日前まで)などで適宜防除を行う。

 図. 那須烏山市におけるナシヒメシンクイの発生消長







写真. 新梢における芯折れの被害(左)と
 果実の食害(右)
 
詳しくは、農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問合せ下さい。また、当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用下さい。
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