植物防疫ニュース(速報 No.5)
 
平成23年7月11日
栃木県農業環境指導センター
ヒメトビウンカのイネ縞葉枯病ウイルス保毒状況と発生量について

 5月下旬から6月上旬に麦類ほ場から採集したヒメトビウンカ第一世代幼虫のイネ縞葉枯病ウイルス保毒虫を検定した結果、保毒虫率は県内平均で2.3%でしたが、県南部を中心に保毒虫率がやや高い地域が認められました(表1・図1)。
 また、ヒメトビウンカ第一世代成虫の本田飛び込み盛期は6月中旬頃と推定され、6月下旬の成虫数は過去平均(昭和62年〜平成8年)に比べて多い状況です(表2)。
 本年は、6月20日に県南部で前期発病のゆうれい症状(写真1)を確認しています。ヒメトビウンカの発生量が多いことから、保毒虫率が高い地域では縞葉枯病の増加が懸念されます。
 穂ぞろい期以降、後期発病の穂の出すくみ等(写真2)を含む縞葉枯病発生株率が10%を超える場合は、次年度の対策が必要となります。ほ場をよく観察し今後の発生状況に注意しましょう。
 
表1 ヒメトビウンカ第一世代幼虫のイネ縞葉枯病ウイルス保毒虫検定結果

 

 
  図1 イネ縞葉枯病ウイルス保毒状況
    (ヒメトビウンカ第一世代幼虫) 
 ※5月下旬〜6月上旬に麦類ほ場からヒメトビウンカ第一世代幼虫を採集し、エライザ法により検定。検定頭数は各ほ場110頭。
 ※小山市寒川と栃木市大平町真弓の保毒虫率は2〜3ほ場の平均値。

 
  
 
 
 
写真1 前期発病 ゆうれい症状
 
写真2 後期発病 穂の出すくみ等

【防除対策】
○再生稲はヒメトビウンカの増加や、再生稲での発病株を吸汁して保毒虫率を高めるため、秋耕はすみやかに行う。畦畔等の雑草地でも越冬するため、ほ場周辺の除草を徹底する。
○縞葉枯病抵抗性品種「あさひの夢」の作付割合を増やす。
○罹病性品種(コシヒカリ、なすひかり等)を作付する場合は、ダントツ箱粒剤[ウンカ類]、アドマイヤー箱粒剤[ウンカ類]、またはこれらを含む混合箱施用剤を使用する。

※プリンス粒剤は、ヒメトビウンカの感受性が低下している地域があるため、保毒虫率が高い地域では罹病性品種への使用を避けてください。

 
詳しくは、農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問合せ下さい。
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