平成23年度 病害虫発生予報 第2号
平成23年5月20日
栃木県農業環境指導センター
○ハウス栽培では栽培終了時に蒸し込みを行い害虫を防除しましょう!
○ハダニ類やアザミウマ類は発生が少ない時期から適切に防除しましょう!
予想期間5月下旬〜6月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 水稲 縞葉枯病(ヒメトビウンカ媒介)
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 昨年の発生量はやや多い。(+)
ヒメトビウンカの越冬世代幼虫の発生量は多く、県南部の一部では越冬世代の縞葉枯病保毒虫率も高い(平成22年11月時点)。(+)
(3)対  策 地域の発生状況、発生情報に注意を払い、ほ場をよく観察する。
保毒虫率が高い地域で感受性品種(コシヒカリなど)を今後作付する場合は、防除効果の高い箱施用剤を使用する。
防除対策のポイントNo.15(イネ縞葉枯病に注意しましょう)参照。
平成22年度植物防疫ニュース(速報No.9)「ウンカ類幼虫の生息密度とイネ縞葉枯病の保毒虫率について」参照。
 いちご(親株) ハダニ類
(1)発生予想   発生量:多い 
(2)根  拠

 
前作の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策
 
ランナー発生数が増加する前に発生が見られる場合は、コテツフロアブル、テデオン乳剤等を葉裏にもよくかかるように散布する。

 
本ぽから親株へハダニ類を持ち込まないようにするため、ハダニ類の発生している本ぽの管理作業の後に親株の管理作業は行わない。
 トマト コナジラミ類
(1)発生予想   発生量:平年並 
(2)根  拠 現在の発生量はやや少ない。(−)

 
向こう1か月の平均気温は平年並〜高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策
 
生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は、ビニル袋などで密封し、枯死させてから処分するか土中に埋める。

 
コナジラミ類が発生しているほ場では、スタークル(アルバリン)顆粒水溶剤、チェス顆粒水和剤等をローテーション散布する。

冬春トマト栽培終了時には、野外にコナジラミ類を飛散させないため、地際から切断後、ハウス内が40℃前後を維持する時間が1日平均7時間以上確保できる条件で、3日間以上の蒸し込みを行う。
(4)備  考 蒸し込み時の過度な高温は、施設内の器具を傷めることがあるので注意する。
4 野菜・花き類 アザミウマ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根   拠  現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高く、降水量は平年並〜少ない見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策 雑草はアザミウマ類の増殖源になるので、ほ場内外の雑草防除を行う。
定植時に粒剤を使用する。

 

 
施設栽培では紫外線カットフィルムを被覆したり、施設開口部に防虫ネットを張ることにより、アザミウマ類の侵入を防ぐ。
栽培終了時には、ハウスを密閉して蒸し込みを行い、死滅させる。
(4)備  考
 
アザミウマ類はウイルス病(キュウリ黄化えそ病:MYSV、ニラえそ条斑病:IYSV、キク茎えそ病:CSNV 等)を媒介するので注意する。
5 なし 黒星病
(1)発生予想   発生量:平年並
(2)根  拠 現在の発生量はやや多い。(+)
向こう1か月の降水量は平年並〜少ない見込みで、発生にやや不適である。(±〜−)
(3)対  策 芽基部病斑は摘み取る。
芽基部病斑上の胞子形成抑制のため、アフェットフロアブル、ベルクートフロアブル等を散布する。
(4)備  考 当センターHPに「ナシ黒星病菌の簡易薬剤感受性検定」を掲載中。
6 きく ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根   拠  現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高く、降水量は平年並〜少ない見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策
 
下葉や葉裏に多く発生するので、その部分に薬剤がよくかかるように散布する。また、生育初期から防除することでその後の発生密度を抑制できる。
葉裏をよく観察し、発生が認められたら、気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、オサダンフロアブル、コテツフロアブル等を散布する。
7 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
水 稲 葉いもち  −   少 露地野菜類 アブラムシ類 やや多 やや多
ニカメイガ やや少 平年並 な し シンクイムシ類 やや多  多
小 麦 赤かび病  少 やや少 アブラムシ類 平年並 平年並
トマト 灰色かび病 やや多 やや多 果樹類 カメムシ類 やや少 やや少
葉かび病 やや少 やや少
○斑点米カメムシ類対策は、本田内の雑草対策も重要です!
 水田周辺の雑草だけでなく、本田内の雑草(ノビエ、イヌホタルイなど)も斑点米カメムシ類を誘引し、発生源となります。水田内の雑草対策でカメムシ類の生息しにくい環境をつくり、斑点米の発生を防ぎましょう。
農薬を上手に使いこなしましょう!
ハウス内で農薬を散布するときは、午前中のうちに葉裏にも薬剤がよくかかるように散布する。
同一薬剤の連用を避け、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
1か月予報(予報期間5月14日から6月13日 5月13日気象庁発表)
 天気は数日の周期で変わるでしょう。平年に比べ晴れの日が多い見込みです。週別の気温は、1週目は、平年並の確率50%です。2週目は、平年並または高い確率ともに40%です。3〜4週目は、平年並または高い確率ともに40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 40% 40%
○降水量 40% 40% 20%
○日照時間 20% 40% 40%
NEWS & INFORMATION
7月7・8日に農薬使用者等を対象とした「栃木県農薬管理指導士」等養成研修が開催されます。詳しくは、農政部経営技術課にお問い合わせください。Tel(028)623-2286
県では、農薬による事故等の発生防止を図るため、6月から8月の3か月間を「農薬危害防止運動期間」とし、農薬の適正使用等について啓発活動を行います。
「平成23年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」をお求めの方は、社団法人 栃木県植物防疫協会にお問い合わせください。Tel(028)683-5533 Fax(028)683-5530
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詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/)までお問い合わせください。
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