平成23年度 病害虫発生予報 第4号
平成23年7月22日
栃木県農業環境指導センター
○斑点米カメムシ類、ハダニ類、アザミウマ類の多発が懸念されます。
○イチゴ炭疽病の発生に注意しましょう!
予想期間7月下旬〜8月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
根拠となる現況データはホームページに掲載中。     
1  水稲 いもち病
(1)発生予想 発生量:少ない
(2)根  拠
現在の発生はやや少ない(−)。
BLASTAMによると6月から7月(7/18現在まで)を通して、感染好適条件
の発生は、平年を上回っている地点数は少なく、連続した出現はない。(−)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高い見込みで、発生に不適な条件となっ
ている。(−)
(3)対  策
 

 
葉いもちが見られる場合は、穂ぞろい期にアミスターエイト、ブラシンフロ
アブル、カスラブサイドゾル等の予防・治療効果の高い薬剤を散布する。
(4)備  考
 
当センターホームページにBLASTAMの情報を掲載中。
感染好適条件は平均気温20℃前後で、弱い連続降雨がある時。
2  水稲 斑点米カメムシ類
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠
7月上旬の雑草地すくい取りでは発生は平年並で、カスミカメ類が広く発生
している。(±)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策



 
穂ぞろい期に斑点米カメムシ類が水田内で見られる場合は、乳熟初期(出穂
期7〜10日後)までにMR.ジョーカーEW、スタークル液剤10(スター
クルメイト液剤10)等を散布する。
防除後も斑点米カメムシ類が見られる場合は、7〜10日間隔で1〜2回の
追加散布を行う。
(4)備  考
 

 
植物防疫ニュース(速報No.4)「カスミカメ類(小型の斑点米カメムシ
類)が平年より広範囲で発生しています!」をホームページに掲載しました。
3 いちご  炭疽病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠
現在の発生はやや少ない。(−)
7/6、13の巡回調査で発生がみられ、発生が平年に比べ早い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策 水滴の飛散等で伝染するので、できるだけ水の跳ね返りがないようなかん水
を行う。
風通しを良くするとともに、茎葉のぬれ時間が長くならないよう、かん水は
できるだけ晴天日の午前中に行い、曇雨天日及び夕方のかん水を控える。


 
症状が出てからの防除は困難なので、発生前から定期的に、ゲッター水和剤
(定植前日まで)、ベルクート水和剤(育苗期(定植前))等をローテーショ
ン散布する。

 
気温が高い時期は、防除の間隔が長くなると感染の危険性が高まるので、7
〜10日間隔で防除する。
被害株、被害茎葉及びランナーは見つけ次第取り除き、ほ場外で処分する。
(4)備  考 「薬剤耐性・感受性検定結果」をホームページに掲載中。
4 いちご  うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠
一部で発生株率62%のほ場があるが、高温の影響により病斑の進展が抑制
されている。(±)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高い見込みで、発生にやや不適である。
(−〜±)
(3)対  策


高温期には病徴が見えにくくなるが、病徴が見えない場合でも、この時期に
タフパール[適用作物:野菜類]、ジーファイン水和剤[適用作物:野菜類]等
で予防する。

 
発生が見られたら、フルピカフロアブル、サンヨール等を散布し、本ぽへの
うどんこ病菌の持ち込みを防ぐ。 
(4)備  考 タフパールは微生物農薬であるため、他の殺菌剤との混用を避ける。
5 いちご  ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠
 
現在の発生はやや多い。発生ほ場率は59%(平年比174%)。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策


 
苗による本ぽへの持ち込みを防ぐため、育苗床での防除を適正に行う。

 
葉裏を注意深く観察し、発生を認めたら気門封鎖系薬剤をスポット散布する
か、コテツフロアブル、テデオン乳剤等を葉裏によくかかるように散布する。
ハウス内の雑草はハダニ類の増殖場所になるため、除草を徹底する。
(4)備  考 当センターHPに「いちご病害虫情報第12号」ハダニ、うどんこ病防除優
良事例を掲載中。
6 トマト  コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠
 
現在の発生はやや少ない。(−)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策


ほ場周辺の除草を徹底する。


 
タバココナジラミ類はトマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するので、施設の開
口部に0.4o目以下の防虫ネットを張り侵入を防ぐ。光反射シートや近紫外
線カットフィルムも効果がある。
今後定植する作型では、育苗期及び定植時にベストガード粒剤、スタークル
(アルバリン)粒剤等を施用する。
7 野菜・花き類(露地・施設) アザミウマ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根   拠 現在の発生量は多い〜やや多い(なす・きゅうり・ねぎ・きく)。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策


 
雑草はアザミウマ類の増殖源になるので、ほ場内外の雑草防除を行う。

 
施設栽培では紫外線カットフィルムを被覆したり、施設開口部に防虫ネット
を張ることにより、アザミウマ類の侵入を防ぐ。
栽培終了時にはハウスを密閉して蒸し込みを行い、確実に死滅させる。
(4)備  考 アザミウマ類はウイルス病(キュウリ黄化えそ病:MYSV、ニラえそ条斑
病:IYSV、キク茎えそ病:CSNV、キクえそ病:TSWV 等)を媒
介するので注意する。
8 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
水 稲 縞葉枯病  多  多 な し
ぶどう
ナシヒメシンクイ やや多 やや多
いちご 萎黄病  少 やや少 べと病 やや多 平年並
トマト 灰色かび病  多 やや多 りんご 斑点落葉病  多 やや多
な す ハダニ類 やや多  多 果 樹 カメムシ類 やや少 平年並
きゅうり 褐斑病 平年並 やや少 き く 白さび病  少   少 
ね ぎ 黒斑病 平年並 やや少 ハダニ  多   多
な し 黒星病 やや多 平年並    
○農薬を適正に使いましょう!(6〜8月は農薬危害防止運動期間です!)
マルハナバチに対する安全日数を目安に適切な薬剤を選択しましょう。
農薬散布時には、周辺の人や農作物等にかからないように十分注意し、周辺住民に周知を図ると
ともに、散布の時間帯にも気を配りましょう。
必ず農薬容器のラベルをよく読み、使用方法・使用上の注意事項を守りましょう。
1か月気象予報(予報期間7月16日から8月15日 7月15日気象庁発表)
 週別の気温は、1週目は、高い確率60%です。2週目は、平年並または低い確率ともに40%
です。3〜4週目は、平年並または高い確率ともに40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 40% 40%
○降水量 20% 30% 50%
○日照時間 30% 40% 30%
NEWS & INFORMATION

 
ToMV新系統による病害が5月に県内の施設トマトで初めて確認されました。詳細は、当センタ
ーのホームページ内にある「特殊報第1号(ToMV新系統による病害について)」を参照ください。
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詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用ください。
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