平成23年度 病害虫発生予報 第5号
平成23年8月19日
栃木県農業環境指導センター
○いちご炭疽病の防除をしましょう!
○ハスモンヨトウ、ハダニ類の防除は早めに実施しましょう!
予想期間8月下旬〜9月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1  大豆・野菜類  ハスモンヨトウ幼虫
(1)発生予想   発生量:多い 発生時期:やや早い
(2)根  拠


 
大豆における現在の発生ほ場率は高い(平年比:ほ場率275%)。(+)
これまでのフェロモントラップへの成虫誘殺数は多い。(+)

 
向こう1か月の平均気温は高く、降水量は平年並の見込みで発生に適している。(+)
(3)対  策



 

 
定期的にほ場をよく観察して早期発見に努め、発生を確認した卵塊や分散前の幼虫は寄生葉ごと摘み取り処分する。

 
ハスモンヨトウの幼虫は齢期が進むと薬剤が効きにくくなるので、発生初期に薬剤を散布する。
施設栽培では、開口部に防虫ネット等を張り、侵入を防ぐ。
(4)備  考

 


 
植物防疫ニュース(速報No.7)「ハスモンヨトウ成虫が多く発生しています!」、(速報No.10)「大豆におけるハスモンヨトウの動向に注意しましょう!」をホームページに掲載しました。
2 いちご  炭疽病
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠
 
現在の発生量は多い(平年比:ほ場率407%、株率167%)。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策





 
被害株、被害茎葉及びランナーは見つけ次第取り除き、ほ場外で処分する。

 
水滴の飛散等によって伝染するので、できるだけ水の跳ね返りがないようなかん水を行う。

 
風通しを良くするとともに、茎葉のぬれ時間が長くならないよう、かん水はできるだけ晴天日の午前中に行い、曇雨天日及び夕方のかん水を控える。

 
被害株の周辺や発生の恐れがある場合には、バイコラール水和剤(育苗期)、オキシンドー水和剤80(育苗期)等を散布する。
(4)備  考 「薬剤耐性・感受性検定結果」をホームページに掲載中。
3 いちご  うどんこ病
(1)発生予想   発生量:平年並 
(2)根  拠

 
現在の発生は平年並(平年比:ほ場率76%、株率62%)。(±)

 
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生にやや不適な条件となっている。(±〜−)
(3)対  策


 

 
高温期に病徴が見えない場合でも、この時期にタフパール、ジーファイン水和剤等で予防する。

 
発生が見られたら、パンチョTF顆粒水和剤、サンヨール等を散布し、本ぽへのうどんこ病菌の持ち込みを防ぐ。 
(4)備  考 タフパールは微生物農薬であるため、他の殺菌剤との混用を避ける。
4 いちご  ハダニ類
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠
 
現在の発生量は多い(平年比:ほ場率209%、株率277%)。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策



 
苗による本ぽへの持ち込みを防ぐため、育苗床での防除を適切に行う。


 
葉裏を注意深く観察し、発生を認めたら気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、コテツフロアブル、コロマイト水和剤等を葉裏によくかかるように散布する。
ハウス内の雑草はハダニ類の増殖場所になるため、除草を徹底する。
5 トマト  コナジラミ類
(1)発生予想   発生量:やや多い
(2)根   拠

 

 
夏秋トマトでの現在の発生量は平年並(平年比:ほ場率82%、株率96%)。(±)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策





 
ほ場周辺の除草を徹底する。


 
タバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルスを媒介するので、施設の開口部に0.4mm目以下の防虫ネットを張り侵入を防ぐ。光反射シートや近紫外線カットフィルムも効果がある。


 
今後定植する作型では、育苗期、定植時にスタークル(アルバリン)粒剤、ベストガード粒剤(ベストガード粒剤の育苗期株元処理及び定植時土壌混和は合計1回以内)等を施用する。
6 なす オオタバコガ幼虫
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠

 

 
夏秋なすでの現在の発生量は多い(平年比:ほ場率1200%、株率1300%)。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策

 
食入された果実は早めにほ場外に持ち出して処分する。

 
花や果実をよく観察し、発生が認められたらスピノエース顆粒水和剤、アファーム乳剤等を葉裏にもよくかかるように散布する。
7 きく ハダニ類
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠
 
現在の発生量は多い(平年比:ほ場率209%、株率279%)。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策



 

 
下葉や葉裏に多く発生するので、その部分に薬剤がよくかかるように散布する。生育初期から防除することでその後の発生密度を抑制できる。


 
葉裏をよく観察し、発生が認められたら、気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、コロマイト水和剤[適用害虫:ナミハダニ]、コテツフロアブル等を散布する。
8 その他の病害虫  
      現 況 発生予想





 
    現 況 発生予想
  水 稲 穂いもち やや少 やや少 ね ぎ アザミウマ類 やや多   多 
     縞葉枯病  多    多  な し 黒星病 やや多 平年並 
    斑点米カメムシ類 やや多   −  りんご 斑点落葉病  多   多  
  いちご 萎黄病  少    少    ハダニ類 やや多   多 
  な す アザミウマ類  多   多 果 樹 カメムシ類 やや少 平年並 
  ね ぎ 黒斑病 平年並 平年並 き く 白さび病  少    少  
○大豆の紫斑病・カメムシ類防除について
紫斑病とカメムシ類の防除適期は隣接しているため、同時防除が可能です。


 
防除適期 紫斑病:開花期15日後から35日後(昨年発生が多かったところは2回以上)

 
カメムシ類:開花期15日後から10〜14日間隔(発生が多く見られる場合は、散布間隔を短く回数を多くする)
○水稲の縞葉枯病の発生に注意しましょう!

 
発生地域が県全域に拡大しています。出穂後は後期発病(出すくみ)が見やすくなるため、ほ場での発病状況を確認し、次作への対策を検討しましょう。
1か月気象予報(予報期間8月13日から9月12日 8月12日気象庁発表)
 平年と同様に晴れの日が多いでしょう。向こう1か月の平均気温は高い確率50%です。週別の気温は、1週目は高い確率80%、2週目は平年並または低い確率40%、3〜4週目は平年並または高い確率40%です。
  低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 30% 50%
○降水量 30% 40% 30%
○日照時間 30% 40% 30%
NEWS & INFORMATION

 
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