平成23年度 病害虫発生予報 第6号
平成23年9月16日
栃木県農業環境指導センター
○イチゴ炭疽病が多発しています!
○ハスモンヨトウの防除は早めに実施しましょう!
予想期間9月下旬〜10月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 野菜類・大豆 ハスモンヨトウ
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 現在、大豆ほ場で幼虫の発生が多い(平年比:ほ場率191%)。(+)
向こう1か月の平均気温は高く降水量は少ない見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策



 
定期的にほ場をよく観察して早期発見に努め、発生を確認した卵塊や分散前の幼虫は寄生葉とともに摘み取り処分する。
ハスモンヨトウの幼虫は齢期が進むと薬剤が効きにくくなるので、発生初期に薬剤を散布する。
施設栽培では、開口部に防虫ネット等を張り、侵入を防ぐ。
(4)備  考


 
植物防疫ニュース(速報No.11)「大豆で再びハスモンヨトウ幼虫の発生が始まっています」をホームページに掲載しました。
「ハスモンヨトウ3齢幼虫の薬剤感受性検定」をホームページに掲載中(適用作物注意)。
2 いちご 炭疽病
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根  拠 現在の発生量は多い(平年比:ほ場率994%、発生株率1400%)。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策



被害株は見つけ次第取り除き、ほ場外で処分する。また、潜在感染株を本ぽに持ち込まないために、感染株周囲の株はできるだけ使用しない。
水滴の飛散等によって伝染するので、できるだけ水の跳ね返りがないようなかん水を行う。
風通しを良くするとともに、茎葉のぬれ時間が長くならないよう、かん水はできるだけ晴天日の午前中に行い、曇雨天日及び夕方のかん水を控える。
被害株の周辺や発生の恐れがある場合には、ゲッター水和剤(定植前まで)、サンリット水和剤等を散布する。
(4)備  考 病害虫発生予察注意報第1号(イチゴ炭疽病をホームページに掲載しました。
「イチゴ炭疽病の薬剤感受性検定」をホームページに掲載中。
3 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 現在の発生量は平年並(平年比:ほ場率122%、発生株率76%)。(±)
向こう1か月の降水量は少ない見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策


発生初期に気門封鎖系薬剤をスポット散布して拡大を防ぐ。
マルチ前の下葉かきにあわせてテデオン乳剤、マイトコーネフロアブル等を散布する。
スパイカルEX<適用作物:野菜類(施設栽培)>等の天敵農薬を使用する場合は、放飼前に必ず防除を行い発生密度を低下させる。
4 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 病害虫防除員の報告では、現在の発生量はオンシツコナジラミが平年並(±)、タバココナジラミが多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策 ほ場周辺の除草を徹底する。



タバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルスを媒介するので、施設の開口部に 0.4mm目以下の防虫ネットを張り侵入を防ぐ。光反射シートや近紫外線カットフィルムも効果がある。
黄色粘着板を施設内に設置し、コナジラミ類を捕殺する。特に開口部付近には多めに設置する。
育苗期、定植時にベストガード粒剤、スタークル(アルバリン)粒剤を使用する。
(4)備  考 近紫外線カットフィルム、粒剤は、マルハナバチに影響があるので注意する。
5 きゅうり アザミウマ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根  拠
 
現在の発生量は多い(平年比:ほ場率245%、発生株率418%)。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策



施設内外の除草や、施設内の不要な作物を除去する。
ミナミキイロアザミウマはキュウリ黄化えそ病を媒介するので、施設開口部に防虫ネット等を張り侵入を防ぐ。


施設内に青色粘着トラップを設置し、早期発見に努める。
密度の低い時期にスワルスキー<適用作物:野菜類(施設栽培)>等の天敵農薬を使用する。
アファーム乳剤[適用害虫:ミナミキイロアザミウマ]等を散布する。
(4)備  考 「きゅうりから採集したミナミキイロアザミウマの薬剤感受性検定結果」をホームページに掲載中。
6 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
大豆 吸実性カメムシ類 やや多  多 にら ネダニ  多  多

いちご
フタスジヒメハムシ
うどんこ病
平年並やや少 平年並
やや少 
ねぎ アザミウマ類
べと病
 並
やや多
やや多
平年並
アブラムシ類  多  多 きく ハダニ類  多  多
なす アザミウマ類  多  多 白さび病  少  少
秋の病害虫防除対策
○トマト黄化葉巻病(TYLCV)
前作の越冬・冬春作型調査では、発生が平年に比べやや多かった。
黄化葉巻病はタバココナジラミの吸汁によって媒介されるので、タバココナジラミの防除を行う。
TYLCVは管理作業では伝染しない(汁液伝染、土壌伝染、種子伝染、経卵伝染しない)。ウイルスを獲得したタバココナジラミは、約1日の潜伏期間を経て死ぬまで伝搬能力を持つ。
ハウス内外の野良生えトマトは、TYLCVの重要な感染源となるので必ず除去する。また、多くの雑草にタバココナジラミが寄生するため、ほ場内と周辺雑草を除去する。
感染が疑われる苗は、定植しない。
罹病株は伝染源となるので、見つけ次第抜き取る。抜き取った株は放置せず、土中に埋設するか、ビニル袋などで密封し枯死させてから処分する。
罹病株があった場合は、その近隣の株も抜き取り処分する。
○なし黒星病
黒星病菌は芽や落葉で越冬し翌年の発生源になるので、収穫終了後は必ず薬剤散布を行い、園内外の落葉を集めて適切に処分する。
1か月気象予報(予報期間9月10日から10月9日 9月9日気象庁発表)
 関東甲信地方の天気は数日の周期で変わるでしょう。平年に比べ晴れの日が多い見込みです。週別の気温は、1週目は高い確率が80%、2週目は高い確率が60%、3〜4週目は平年並みまたは高い確率がともに40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 10% 20% 70%
○降水量 40% 40% 20%
○日照時間 20% 40% 40%
NEWS & INFORMATION
「栃木県農薬管理指導士」養成研修会が11月7日、8日に栃木県総合文化センターにおいて開催されます。詳しくは農政部経営技術課環境保全型農業担当までお問い合わせください。
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