平成23年度 病害虫発生予報 第7号 |
平成23年10月20日 栃木県農業環境指導センター |
○ ハダニ類の多発が懸念されます! ○ いちご萎黄病やトマト黄化葉巻病の発病株は抜き取り処分しましょう! |
予想期間10月下旬〜11月下旬 |
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。 |
1 いちご うどんこ病 | ||
(1)発生予想 | 発生量:平年並 | |
(2)根 拠 | ・ | 現在の発生量はやや少ない(平年比:ほ場率46%、発生株率55%)。(−) |
・ | 向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+) | |
(3)対 策 | ・ | 軟弱徒長すると発生が多くなるので、適正な温度管理やかん水を行う。 |
・ | 現在発生が見られなくても、今後発生する可能性があるため、保温開始までにタフパール、サンヨール等で予防する。 | |
・ | 施設のサイドを下ろし、保温を開始したら、硫黄粒剤でくん煙する。 | |
・ | 発生初期にアミスター20フロアブル、フルピカフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。 | |
(4)備 考 | ・ | タフパールは微生物農薬であるため、他の殺菌剤との混用を避ける。 |
2 いちご ハダニ類 | ||
(1)発生予想 | 発生量:多い | |
(2)根 拠 | ・ | 現在の発生量は多い(平年比:ほ場率302%、発生株率282%)。(+) |
・ | 向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+) | |
(3)対 策 | ・ |
発生初期に気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、スターマイトフロアブル、アファーム乳剤等を散布する。 |
(4)備 考 | ・ |
スパイカルEX等の天敵農薬を使用する場合には、放飼前に必ず防除を行い発生密度を低下させる。 |
3 トマト 灰色かび病 | ||
(1)発生予想 | 発生量:平年並 | |
(2)根 拠 | ・ | 調査を行っている12ほ場では発生が確認されていない。(−) |
・ | 向こう1か月の降水量は平年並〜多く、日照時間が少ない見込みで、発生に適している。(+) | |
(3)対 策 |
・ | 施設内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。また、循環扇や暖房機等を稼働し、植物体表面の結露を除去する。 |
・ | 咲き終わった花弁や発病果、発病葉は感染源となるので早急に取り除き、施設外で処分する。 | |
・ | 発生初期にカリグリーン、フルピカフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。 | |
(4)備 考 | ・ |
予防としてボトキラー水和剤のダクト内投入を行う場合には、あらかじめ薬剤散布等で菌密度を下げておく。 |
4 トマト 黄化葉巻病(TYLCV) | ||
(1)発生予想 | 発生量:多い | |
(2)根 拠 | ・ | 現在の発生量は多い。(+) |
・ ・ |
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、媒介虫であるタバココナジラミの増殖に適している。(+) タバココナジラミの現在の発生量は平年並(平年比:ほ場率120%)。(+) |
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(3)対 策 |
・ | タバココナジラミの吸汁によって媒介されるので、タバココナジラミの防除を行う。 |
・ | ハウス周辺の野良生えトマトは、TYLCVの重要な感染源となるので必ず除去する。また、多くの雑草にタバココナジラミが寄生するため、ほ場内と周辺雑草を除去する。 | |
・ | 感染が疑われる苗は、定植しない。 | |
・ | 罹病株は伝染源となるので、見つけ次第抜き取る。抜き取った株は放置せず、土中に埋設するか、ビニル袋などで密封し枯死させてから処分する。 | |
・ | 罹病株があった場合は、その近隣の株も抜き取り処分する。 | |
(4)備 考 | ・ | TYLCVは管理作業では伝染しない(汁液伝染、土壌伝染、種子伝染、経卵伝染しない)。ウイルスを獲得したタバココナジラミは、約1日の潜伏期間を経て死ぬまで伝搬能力を持つ(タバココナジラミの生存期間は約25日)。 |
5 きく ハダニ類 | ||
(1)発生予想 | 発生量:多い | |
(2)根 拠 | ・ | 現在の発生量は多い(平年比:ほ場率189%、発生株率300%)。(+) |
・ | 向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+) | |
(3)対 策 | ・ | 下葉や葉裏に多く発生するので、その部分に薬剤がよくかかるように散布する。生育初期から防除することでその後の発生密度を抑制できる。 |
・ | 葉裏をよく観察し、発生が認められたら、発生初期に気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、マイトコーネフロアブル[適用害虫:ナミハダニ]、ダニサラバフロアブル等を散布する。 |
6 その他の病害虫 | |||||||||
現 況 | 発生予想 | 現 況 | 発生予想 | ||||||
いちご | 炭疽病 | やや多 | やや多 | きゅうり | 褐斑病 | やや多 | やや多 | ||
萎黄病 | 多 | 多 | アザミウマ類 | 多 | 多 | ||||
アザミウマ類 | 多 | 多 | にら | 白斑葉枯病 | 平年並 | やや多 | |||
トマト | コナジラミ類 | 平年並 | やや多 | 茎葉野菜類 | ハスモンヨトウ | やや多 | やや多 | ||
きゅうり | うどんこ病 | やや多 | やや多 | ||||||
秋冬の病害虫防除対策 ○イネ縞葉枯病、イネ黄萎病 ・再生稲での発生は次年度の伝染源になるので、早めに秋耕を行う。 ○コムギ縞萎縮病 ・農林61号、タマイズミは罹病しやすいため、ほ場の選定に注意する。 ・汚染ほ場の拡大を防止するため、作業順序に気を配り、作業機の洗浄を心がける。 ・排水対策を行う。湿田では暗きょ等の積極的な排水を行う。 ・早播きすると発生しやすいので、播種適期内の遅めの時期に播種する。 ・地域別の播種適期は以下のとおり。 県北部:11月 1日〜11月10日 県中部:11月 6日〜11月15日 県南部:11月 9日〜11月18日 ○なし黒星病 ・病原菌は芽や落葉で越冬し、翌年の発生源となるため、収穫終了後は徒長枝の先端までまんべん なく薬液がかかるよう丁寧に薬剤散布を行い、園内外の落葉を集めて適切に処分する。防除の際 は周辺へ飛散(ドリフト)しないよう十分注意する。 |
○農薬を適正に使いましょう! | |
・ | ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択しましょう。 |
・ | 農薬を散布する場合には、周辺の人や農作物等にかからないように十分注意し、周辺住民に周知するとともに散布の時間帯にも気を配りましょう。 |
・ | 農薬を使用する場合は必ず農薬容器のラベルをよく読み、使用方法・使用上の注意事項を守りましょう。 |
1か月気象予報(予報期間10月15日から11月14日 10月15日気象庁発表) | |||
天気は数日の周期で変わるでしょう。週別の気温は、1週目は、高い確率50%です。2週目は、平年並または高い確率ともに40%です。3〜4週目は、平年並または高い確率ともに40%です。 | |||
低い(少ない)確率 | 平年並の確率 | 高い(多い)確率 | |
○気 温 | 20% | 30% | 50% |
○降水量 | 20% | 40% | 40% |
○日照時間 | 40% | 30% | 30% |
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☆ | 「栃木県農薬管理指導士」養成研修会が11月7日、8日に栃木県総合文化センターにおいて開催されます。詳しくは農政部経営技術課環境保全型農業担当までお問い合わせください。 Tel(028)623-2286 |
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