平成23年度 病害虫発生予報 第9号
平成23年12月16日
栃木県農業環境指導センター
○トマト灰色かび病が多く発生していますので、適切な防除をしましょう!
○いちご、きくのハダニ類が依然として多く発生しています!
予想期間12月下旬〜1月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1  いちご  灰色かび病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠
現在の発生はやや多い(平年比:ほ場率171%、株率200%)。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並、降水量は平年並〜多い見込みで、発生に
やや適している。(±〜+)
今後、施設内が多湿となりやすく、発生に好適である。(+)
(3)対  策



ハウス内の低温多湿が発生助長要因となるため、下葉を取り除き風通しを良
くするとともに、かん水は必要最小限にとどめる。
発病果実等は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
発生初期にフルピカフロアブル、セイビアーフロアブル20等を散布する。
降雨が続いて湿度が高い場合は、ロブラールくん煙剤等の使用も効果的であ
る。
(4)備  考 灰色かび病は、収穫直前の果実に発病しやすい。
2  いちご  うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや多
(2)根  拠
現在の発生は平年並(平年比:ほ場率95%、株率110%)。(±)
向こう1か月の平均気温は平年並の見込み。(±)
やや軟弱な生育となっている。(+)
(3)対  策
適正な温度管理や換気、こまめなかん水等を実施する。
発生を予防するため、硫黄粒剤によるくん煙を行う。
発生初期にトリフミン水和剤、ダイマジン等を葉裏にもよくかかるように散
布する。
3 いちご  ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠
 
現在の発生は多い(平年比:ほ場率232%、株率233%)。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並の見込み。(±)
(3)対  策 ハダニ類は下葉にいることが多いので、必要に応じて下葉かきを行う。
発生初期に気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、ダニサラバフロアブル等
を葉裏にもよくかかるように散布する。
(4)備  考 天敵導入前には予め防除を行い、ハダニ類の密度を下げておく。防除には、
天敵に影響の少ない薬剤を選定する。
天敵は効果がでるまでに時間がかかるので、葉裏をよく見て定着を確認する。
4 トマト  灰色かび病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠
現在の発生は多い(平年比:ほ場率260%、株率450%)。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並、降水量は平年並〜多い見込みで、発生に
やや適している。(±〜+)
今後、施設内が多湿となりやすく、発生に好適である。(+)
(3)対  策


ハウス内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので速やかに取り除き、
ハウス外で処分する。
防除は予防を基本とし、暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入
を行う。なお、本剤は発病前からの継続した使用が効果的である。
発生初期に、ゲッター水和剤、ベルクートフロアブル等を散布する。
(4)備  考 暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入は、他の薬剤で灰色かび
病の発生密度を下げてから行う。
5 トマト  黄化葉巻病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根   拠 現在の発生はやや多い(平年比:ほ場率424%、株率100%)。(+)
現在のコナジラミ類の発生量は平年並(平年比:ほ場率98%、株率24%)。
(±)
(3)対  策


タバココナジラミの吸汁によって媒介されるので、タバココナジラミの防除
を行う。
罹病株は伝染源となり、タバココナジラミの媒介により周辺ほ場への拡散も
懸念されるので、見つけしだい速やかに抜き取り、さらに土中に埋設するか、
ビニル袋等で密封し枯死させてから処分する。
施設内に黄色粘着トラップを設置し、コナジラミ類を捕殺する。
タバココナジラミの発生が見られる場合は、クリアザールフロアブル、サン
マイトフロアブル等を散布する。
6 にら  白斑葉枯病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根   拠 現在の発生量は多い(平年比:ほ場率191%)。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並、降水量は平年並〜多い見込みで、発生に
やや適している。(±〜+)
(3)対  策
施設内が多湿とならないよう、日中に適度な換気を行う。
発生初期に、アミスター20フロアブル、ポリオキシンAL水溶剤等を散布
する。
7 きく  ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根   拠 現在の発生量は多い(平年比:ほ場率256%、株率525%)。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並の見込み。(±)
(3)対  策

下葉や葉裏にかけ残しがないように、薬剤を散布する。薬剤のかかり易い生
育初期から抑えることで、その後の増加を抑制する。
葉裏をよく観察し、発生が認められたら、発生初期には気門封鎖系薬剤をス
ポット散布するか、ダニサラバフロアブル、マイトコーネフロアブル[ナミハダ
ニ]等を散布する。
8 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
いちご アザミウマ類 やや多 平年並 きゅうり アザミウマ類 やや多 平年並
トマト うどんこ病 やや少 平年並 に ら ネダニ  多   多
コナジラミ類 平年並 平年並 き く アザミウマ類 やや多 平年並
1か月気象予報(予報期間12月10日から1月9日 12月9日気象庁発表)
 平年に比べ晴れの日が少ないでしょう。週別の気温は、1週目は、平年並の確率50%です。2
週目は、平年並または低い確率ともに40%です。3〜4週目は、平年並の確率40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 30% 50% 20%
○降水量 20% 40% 40%
○日照時間 40% 40% 20%
NEWS & INFORMATION

 県では、植物防疫を目的とするあぜ道等枯れ草の焼却について、次の理由から実施の自粛をお
願いしています。
@代替防除方法により病害虫の発生を抑制することが可能であり、焼却の必要性が低いこと。
Aこれまでの焼却において、延焼・傷害事故の発生や住民からの苦情が報告されていること。
B枯れ草の焼却による放射性物質の飛散を懸念する声が寄せられていること。
 病害虫の防除が必要な地域においては、抵抗性品種の作付や育苗箱への薬剤施用、栽培期間中
の薬剤散布、除草、秋耕といった通年の防除対策を心がけましょう。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用ください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012