平成23年度 病害虫発生予報 第10号 |
平成24年1月20日 栃木県農業環境指導センター |
○ トマトの灰色かび病の多発が懸念されます! |
○ いちごのハダニ類が依然として多く発生しています! |
予想期間1月下旬〜2月下旬 | ||
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。 |
1 いちご ハダニ類 | ||
(1)発生予想 | 発生量:多い | |
(2)根 拠 | ・ | 現在の発生は多い(平年比:ほ場率206%、株率322%)。(+) |
・ |
向こう1か月の日照時間が平年並から多い見込みで、施設内の日中の気温が上がり、増殖に適している。(+) | |
(3)対 策 | ・ | ハダニ類は下葉にいることが多いので、必要に応じて下葉かきを行う。 |
・ |
気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、スターマイトフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。 | |
(4)備 考 |
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当センターHPに植物防疫ニュース速報No.14「いちごのハダニ類の多発生に注意しましょう!」を掲載中。 |
2 いちご うどんこ病 | ||
(1)発生予想 | ・ | 発生量:やや多い |
(2)根 拠 | ・ | 現在の発生はやや多い(平年比:ほ場率152%、株率150%)。(+) |
・ |
向こう1か月の日照時間が平年並から多い見込みで、施設内の日中の気温が上がり、発生に適している。(+) | |
(3)対 策 | ・ | 軟弱徒長すると発生が多くなるので、適切な温度管理やかん水を行う。 |
・ |
現在発生が見えなくても今後発生する可能性があるため、硫黄粒剤でくん煙する。 | |
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発生初期にトリフミン水和剤、ベルクートフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。 | |
3 トマト 灰色かび病 | ||
(1)発生予想 | ・ | 発生量:多い |
(2)根 拠 | ・ | 現在の発生はやや多い(平年比:ほ場率243%、株率138%)。(+) |
・ | 厳寒期は施設内が多湿になりやすく、発生に適している。(+) | |
(3)対 策 | ・ | 施設内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。 |
・ |
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は、伝染源となるので早急に取り除き、施設外で処分する。 | |
・ |
防除は予防を基本とし、暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入による防除を行う。なお、本剤は発病前からの継続した使用が効果的である。 | |
・ | 発生初期にフルピカフロアブル、セイビアーフロアブル20等を散布する。 |
4 トマト 黄化葉巻病 | ||
(1)発生予想 | ・ | 発生量:やや多い |
(2)根 拠 | ・ | 現在の発生は多い(平年比:ほ場率363%、株率300%)。(+) |
・ |
黄化葉巻病を媒介するコナジラミ類の発生はやや少ない(平年比:ほ場率38%、株率24%)。(−) | |
(3)対 策 |
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タバココナジラミの吸汁によって媒介されるので、タバココナジラミの防除を行う。 |
・ |
罹病株は伝染源となり、タバココナジラミの媒介により周辺ほ場への拡散も懸念されるので、見つけ次第すみやかに抜き取り、さらに土中に埋設するか、ビニル袋等で密封し枯死させてから処分する。 | |
・ | 施設内に黄色粘着トラップを設置し、コナジラミ類を捕殺する。 | |
・ |
タバココナジラミの発生がみられるほ場では、ベストガード水溶剤、コロマイト乳剤等を散布する。 | |
5 きく ハダニ類 |
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(1)発生予想 | ・ | 発生量:多い |
(2)根 拠 | ・ | 現在の発生はやや多い(平年比:ほ場率177%、株率162%)。(+) |
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・ |
向こう1か月の日照時間が平年並から多い見込みで、施設内の日中の気温が上がり、増殖に適している。(+) |
(3)対 策 |
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下葉や葉裏にかけ残しがないように、薬剤を散布する。薬剤のかかりやすい生育初期から防除することで、その後の増加を抑制する。 |
・ |
発生初期に気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、コロマイト水和剤[ナミハダニ]、スターマイトフロアブル等を葉裏によくかかるように散布する。 | |
6 その他の病害虫 | |||||||||
現 況 | 発生予想 | 現 況 | 発生予想 | ||||||
きゅうり | うどんこ病 | やや少 | やや少 | きく | 白さび病 | やや多 | 平年並 | ||
アザミウマ類 | やや多 | やや多 | アザミウマ類 | 平年並 | 平年並 | ||||
にら | ネダニ類 | 多 | 多 |
イネ縞葉枯病の防除対策 |
・平成23年11月下旬から12月上旬に調査したヒメトビウンカ越冬世代幼虫のイネ縞葉枯病ウイルス保毒虫率が過去10年で最も高く、また、ウンカ類幼虫の生息密度も平年の約2倍と高くなりました。地域別では県南部(特に下都賀地域)で要防除水準(越冬世代幼虫の保毒虫率10%)を超える地点が見られたため、今後同地域では縞葉枯病の多発が懸念されます。 |
・イネ縞葉枯病対策としては抵抗性品種(あさひの夢)の作付を増やす他、縞葉枯病を媒介するヒメトビウンカの防除対策が必要です。要防除水準を超える地域で罹病性品種(コシヒカリ、なすひかり等)を作付する場合は、アドマイヤーCR箱粒剤、ダントツ箱粒剤またはこれらを含む混合箱施用剤を使用しましょう。なお、プリンス粒剤は栃木県内で薬剤感受性が低下したヒメトビウンカが確認されているため、県南部(特に下都賀地域)では罹病性品種に使用しないでください。 |
1か月予報(予報期間1月14日から2月13日 1月13日気象庁発表) | |||
関東甲信地方の天気は平年と同様に晴れの日が多いでしょう。向こう1か月の平均気温は低い確率50%です。週別の気温は、1週目は低い確率50%、2週目は平年並または低い確率ともに40%、3〜4週目は平年並または低い確率40%です。 | |||
低い(少ない)確率 | 平年並の確率 | 高い(多い)確率 | |
○気 温 | 50% | 30% | 20% |
○降水量 | 40% | 40% | 20% |
○日照時間 | 20% | 40% | 40% |
農薬を適正に使いましょう! | |
☆ | ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択しましょう。 |
☆ |
農薬を散布する場合には、周辺の人や農作物等にかからないように十分注意し、周辺住民に周知を図るとともに散布の時間帯にも気を配りましょう。 |
☆ |
農薬を使用する場合は必ず農薬容器のラベルをよく読み、使用方法・使用上の注意事項を守りましょう。 |
☆ |
同一薬剤の連用による抵抗性の発達を防ぐため、異なる系統の薬剤をローテーション散布しましょう。 |
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。 当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用ください。 Tel(028)626-3086 Fax(028)626-3012 |