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IPM(総合的病害虫・雑草管理)の進め方 U IPMに利用する多様な防除方法 1.病害防除 病害は主因(病原体)、素因(植物の感受性)、誘因(環境的要素)の3者が相互に発生に好適な条件にある時、初めて発病する。そのため、3要因のいずれかを各種手段により制御し、病害の発生を許容できるレベル以下に下げることが目標となる。
(1)耕種的防除 @ 抵抗性品種の利用 作物によっては病害抵抗性品種があるのでそれを利用する。「抵抗性」とは別に「耐病性」のものもあるが、厳密に言うと「耐病性」は「抵抗性」よりも罹病しやすい。また、「抵抗性」と記載されていても必ずしも病気に強いとは限らないので注意が必要である。
土壌病害に抵抗性を持つ台木品種に、望ましい形質を持つ品種を接ぎ木する。病害ごとに専用の品種が育種されている。なお、高温が続くなどの気象条件によっては台木も病原菌に犯されることがある。
B 健全育苗 罹病作物から得た種子や栄養繁殖による苗は、病原菌に犯されていることがある。種苗は健全な作物から採取・増殖・選抜して利用する。また、市販の種子検査済みの種イモやウイルスフリー苗などを利用する。
C 圃場管理 罹病作物の残渣を圃場に放置したりすき込んだりすると、残渣中の病原菌が次作の伝染源となる。罹病株は速やかに圃場から搬出し処分する。
D 輪作 連作すると特定の病原菌が増殖したり、土壌養分バランスがくずれたりする。これにより作物が罹病しやすくなるため、適切な輪作が必要である。輪作期間は作物によって異なるが、野菜類では通常3〜5年を単位とした輪作が有効である。
E 土壌pHの矯正 土壌病害によっては発生が土壌pHに強く影響を受けるものもあるので、土壌pH(ペーハー・酸性度)を調整することで発生を抑えることができる。
F 適正施肥 窒素の過剰施用は作物を軟弱徒長させ、病気にかかりやすくする。土壌診断や作物の栄養診断を行い、適正な施肥を心掛ける。
G 作期の調整 播種期を通常より早めること等で作期を調整し、作物の生育期と病原体や媒介虫の活動最盛期をずらすことにより、被害を回避・軽減する。
H 排水対策 土壌の過湿は根の活力を弱め、根こぶ病、疫病などの土壌病原菌の増殖を招くので、圃場の排水対策を講じ土壌水分を調整する。特に梅雨期や秋雨期の作物については排水対策が重要である。
I 施設の除湿対策 施設内の湿度が高いと灰色かび病などの病原菌が増殖しやすいので、換気を十分行う等により湿度を下げて病気の発生を防ぐ。
(2)生物的防除 @ 干渉作用による防除 病原菌の非病原性系統や弱病原性系統を作物に予め感染させておくと、病原性系統による感染・発病を防ぐことができる。
A 有機物の施用 よく腐熟した堆厩肥を施用し、土壌の物理的・化学的・生物的性質を改善して地力を増強することで、各種病害に対する抵抗性が向上する。 B 伝染源(中間宿主)植物の除去 病原菌の生活史のなかで、2種類以上の植物に寄生する菌(異種寄生菌)がある。この場合、経済性の低い中間宿主を除去することにより伝染源を絶つことが出来る。
(3) 物理的防除 @ 比重選 病原菌に侵された種子の多くは、稔実が不十分のため健全な種子よりも重量が軽い。これを利用して健全な種子と病気に汚染された種子を選別し、種子伝染する病気を防ぐことが出来る。
A 熱消毒(土壌) ウイルス、細菌、糸状菌などは70℃前後の高温で死滅するので、太陽熱や焼土による熱消毒が有効である。
B 光質利用による防除 ハウスの被覆資材として紫外線除去フィルムを用いると、糸状菌の胞子発生を抑制し病原菌の増殖を抑えることができる。灰色かび病や菌核病などの防除に効果がある。
C 雨よけ栽培 作物が濡れると病原菌の胞子が発芽しやすくなるので、雨よけ施設を設置し、作物に雨がかからないようにする。
D マルチ栽培 敷きわらやポリフィルムでマルチングすることにより、土中の病原菌が雨滴とともに跳ね上がるのを防ぐ。
E 袋かけ栽培 病原菌が果実に付着するのを遮断する。
(4)化学的防除 @ 土壌消毒 土壌消毒剤を土壌に灌注したり混和するなどして、土壌中の病原菌を死滅、密度低下を図る。 A 種苗消毒 種子や種イモ・球根などに薬剤を付着させ、病原菌を死滅させる。 B 作物への散布 直接作物に農薬を散布して、菌糸の拡大や胞子形成を阻害し病気の拡大を防ぐ。 C くん煙法・蒸散法 施設内において農薬成分を気化させ煙霧状態にすることで、作物に付着させ、病気の拡大を防ぐ。 D 塗布 病原菌は作物体の傷口から侵入しやすい。傷口や剪定による切り口などにペースト状の剤を塗布する。
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