イネ・紋枯病
被害
収穫期の被害
紋枯病は県内全域で毎年発生し、多発生すると減収や品質低下を引き起こす。
とくに「コシヒカリ」は本病の被害を受けやすい。
発生生態
ア.病徴
イネの茎に付着した病原菌の菌核
茎、葉梢の発病
収穫期の病原菌の菌核
イ.発生消長
ウ.発生しやすい条件
○品種 : 早生品種、短稈で分げつが多い品種
○栽培 : 早植(4月下旬〜5月上旬)、密植、窒素肥料の過用、イネの倒伏
○気象 : 7〜9月の高温(気温 : 28〜32℃が最適)
7月中旬〜9月上旬の降雨
○伝染経路
この病気は秋にイネの茎や葉梢の表面に菌核(病原菌の菌糸のかたまり)をつくる。菌核は田面に落ちて越冬し、翌年の代かきによって浮き上がり、イネの株元につき、温度と湿度が好適になると発病する。発病後は気温の上昇とともに、菌糸によって病勢進展する。いもち病のように空気伝染しないので急激に、まん延することはない。
発生予察方法
ア.調査時期・場所
時期 : 早生品種 出穂前15〜20日頃および穂ばらみ期に調査を行う。
中生品種 出穂前15〜20日頃〜穂ばらみ期にかけて、7〜10日毎に調査を行う。
イ.調査方法
調査株数 : 1カ所25株、2カ所で計50株
調査項目 : 発病株数
畦ぎわをよく観察する
調査結果の診断と防除
ア.早生品種(コシヒカリ、ひとめぼれ等)
イ.中生品種
防除方法
ア.発生予察に基づく防除法
出穂前15〜20日あるいは穂ばらみ期までの調査で防除が必要と診断されたら、登録薬剤を散布する。
イ.予防防除及び耕種的防除法
○密植、窒素肥料の多用をさける。なお、イネが倒伏すると本病の被害が大きくなるので、とくに「コシヒカリ」では適切な肥培管理が重要である。
○再生紙マルチ栽培を行う(紋枯病の発生が約30%に減少する)。