ナシ・黒斑病
被 害
収穫果実の被害
果実の落果被害
発生生態
ア.病徴
幼果の発病
葉の病徴
短果枝の病芽
新梢上の枝病斑
イ.伝染源
越冬伝染源は枝病斑と花芽や葉芽の腐った病芽で、6月以降は発病した葉や果実が次々と伝染を繰り返す。
ウ.発生消長
エ.発生しやすい条件
●4〜5月は平均気温18℃以上で、1日2〜3mm程度の少雨条件が続くと発生しやすい。
●6〜7月は高温多湿条件が続くと発生しやすい。
発生予察方法
ア.越冬菌密度調査
(ア) 調査時期・場所
時期:11月下旬〜3月上旬の休眠期
場所:ナシ園
(イ) 調 査 方 法
徒長枝15本を選び、枝当たりの枝病斑数を調査する。また、短果枝45芽の発病を調査し、病芽率を求める。
イ.ポリ袋簡易検定による幼果の発病調査
(ア) 調査時期・場所
時期:5月上〜中旬(小袋かけ前)
場所:ナシ園
(イ) 調 査 方 法
幼果100果を採取して、ポリエチレン袋に入れておき、2日後に幼果の発病を調査し、発病率を求める。
調査結果の診断と防除
ア.休 眠 期
イ.幼果期(小袋かけ前)
防除方法
ア.発生調査に基づく防除法
(ア) 越冬菌密度の減少対策
休眠期に枝当たりの枝病斑数が多いか又は短果枝の病芽率が高く、通常防除以上の防除が必要と診断された場合は、以下にしたがって防除を徹底する。
○病芽の除去
休眠期に伝染源となる病芽(腐れ芽)を除去し、園外に持ち出して土中に埋めるか、焼却する。
○枝病斑の封じ込め
枝病斑はトップジンMペースト、またはバッチレートなどの塗布剤を用いて、病斑の封じ込めを行う。
(イ) 小袋かけ前の幼果の防除
幼果期に幼果のポリ袋検定で発病果率が5%以上、または4〜5月に平均気温18℃以上で降雨日が続き、通常以上の防除が必要と診断された場合は、黒斑病による果実の落下被害が多くなる恐れがあるので、薬剤による防除を徹底する。また、薬剤の散布間隔は小袋掛けが終了するまでは5日以内とする。
使用薬剤については、各地区の防除暦や県作成の主要農作物病害虫防除暦等を参考に選定する。なお、農薬登録情報については、農林水産省ホームページより確認できる。
イ.予防防除及び耕種的防除
(ア) 病落葉の除去
落葉終了後に、園内の落葉をかき集め、溝を掘って土中に埋めるか、焼却する。
(イ) せん定
黒斑病多発園では、薬剤がかかりやすく、新梢が二次伸びをしないような樹体作りをする。
(ウ) 雌しべ除去
人工交配終了後に気温が高く経過した年には、雌しべ感染が多くなるので、摘果の際に雌しべを摘んで除去するようにする。
(エ) 適正な施肥管理
窒素過多となると黒斑病が発病しやすいので、多発園では施肥量に注意する。また、夏肥が遅効きすると新梢の二次伸びが多くなるので、施肥時期にも注意する。