ナシ・ ハダニ類
被 害
被害の初期症状。
葉がかすり状となる
激発した場合は
葉やけ症状となる
越冬ハダニによる
つぼみの被害
発 生 生 態
ア.種 類
ナミハダニ成虫
カンザワハダニ成虫
クワオオハダニ成虫
○越冬形態
ナミハダニ成虫
カンザワハダニ成虫
クワオオハダニ休眠卵
イ.発生消長(ナミハダニ、カンザワハダニ、クワオオハダニ)
ウ.発生しやすい条件
○7〜8月に高温乾燥条件が続くと発生しやすい。
○7月中旬〜8月上旬、9月中旬〜10月上旬に発生が多くなる。
○収穫中は殺ダニ剤の散布ができないので、収穫期間中から収穫後にかけてハダニが多発しやすい。
エ.発生分布
ナミハダニの分布状況
カンザワハダニの分布状況
クワオオハダニの分布状況
○3種類のハダニの見分け方
|
ナミハダニ |
カンザワハダニ |
クワオオハダニ |
卵 |
淡黄色 |
淡黄色 |
赤色 |
幼虫 |
淡黄色で、両脇腹が黒色 |
ナミハダニに似る |
淡赤色 |
若虫 |
同上 |
第1若虫は淡黄色
第2若虫は淡赤色 |
暗赤色 |
雌成虫 |
淡黄色で両脇腹に大きな黒色部 |
鮮やかな紅色 |
暗い赤色 |
越冬 |
成虫。体全体が鮮やかなオレンジ色、主に粗皮下で越冬。 |
成虫。つやがある鮮やかな紅色。主に粗皮下で越冬。 |
赤色の卵。単果枝のしわ、徒長枝のつけねに産卵。 |
(注)ハダニ1世代 卵→幼虫→第1若虫→第2若虫→成虫(1世代約2週間)
発生予察調査方法
ア.調査時期・場所
時期 : 第1回は5月下旬に観察し、6〜9月は各月の中旬に観察する。
場所 : ナシ園
イ.調査方法
用意するもの : ルーペ(10〜20倍)、粘着板(市販の粘着式写真アルバムを利用する)1園3樹、20葉/樹を対象に成虫数をカウントする。
ハダニ簡易識別法(粘着板法)の手順
粘着板に発現した各ハダニの虫体液の色彩
ナミハダニ成虫
赤ダニ(カンザワハダニ・クワオオハダニ)成虫
粘着板に発現した虫体液の色によるハダニ3種の類別
発生予察調査方法
防除方法
ア.発生調査に基づく防除方法
防除が必要と診断されたら、種類によって殺ダニ剤の効き方が異なるので、種類をよく見極める。使用薬剤については、各地区の防除暦や県作成の主要農産物病害虫防除暦等を参考に選定する。
なお、農薬登録情報は、農林水産省ホームページより確認できる。
○殺ダニ剤散布後の効果判定について
殺ダニ剤散布3日後に農薬がかかりやすい場所の葉を対象に粘着板法等を用いて殺虫効果を判定する。
調査のポイント…発色すればハダニが生存している可能性が高い。また、殺卵剤は効果の発現が遅いので、散布10日後に調査する。
イ.予防防除及び耕種的防除法
○休眠期防除
11月の落葉期(落葉60%終了時)又は3月中旬にエチオン・マシン油乳剤50倍液を散布する。この方法はナシ樹で越冬しているニセナシサビダニに対して同時防除ができる。
○誘殺バンドの設置…8月下旬〜9月下旬に主枝又は亜主枝の中央部にクラフト紙を巻き付ける。12月〜2月に取り外して焼却処分する。
○粗皮削り…12月〜2月にナミハダニやカンザワハダニの越冬源である粗皮を削り取る。