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発生確認の経過

(1)平成16年8月中旬に小浜町のニガウリにおいて、果実及び葉に生息したカメムシ類の幼虫が認められた。発生は圃場の一部に集中していた。果実の被害は吸汁部の内部がスポンジ状になったり、加害部位が早期に着色する傾向にあった。
(2)本虫の同定を独立行政法人 農業環境技術研究所 昆虫分類研究室に依頼したところ、本県で未発生のアシビロヘリカメムシであると同定された(図1、2、3)。本虫はこれまでに国内では鹿児島県奄美大島以南での発生は確認されていたが、本土で確認された報告はない。

形態及び生態
(1)成虫は体長17〜25mm。体色は黒色で、下面には多数の橙色斑がある。前胸背は中央前方に三日月型をした橙色の帯があり、側角は鋭くとがる。後脚は長大で脛節が葉状に広がっている。
(2)卵、1〜5齢幼虫、成虫の成育段階を経る。幼虫期間は25℃において約43日間を要する。幼虫の発育零点は15.1℃、有効積算温度は400.8日度である。
(3)県内における越冬状況は不明である。

被害作物等
  文献によると、カボチャ、キュウリ、オキナワスズメウリなどのウリ類やグワバ、パッションフル−ツ、ピーチプラム、ミカン類などの果樹類に寄生し加害する。被害果実は、吸汁部や果実全体が硬化して食用に適さなくなる。

         
     
図1 アシビロヘリカメムシ成虫 図2 アシビロヘリカメムシ5齢幼虫
         
       
  図3 アシビロヘリカメムシ4齢幼虫      
         
  参考文献
友国雅章(1993)日本原色カメムシ図鑑.全国農村教育協会(東京):pp.201,289
安田耕司・鶴町章市(1990)石垣島におけるアシビロヘリカメムシの冬春期の生態.九病虫研会報 36:143-145