植物防疫ニュース(速報 第5号)                        平成18年1月26日
栃木県農業環境指導センター
 
大豆紫斑病薬剤耐性菌の発生とその対応
 
 県内各地において、チオファネートメチル剤で防除したにもかかわらず、紫斑病の発生が多いほ場が認められた。そこで、簡易検定を行った結果、ベンズイミダゾール系(チオファネートメチル剤、ベノミル剤)の薬剤耐性菌であることが確認された。このため、ベンズイミダゾール系薬剤の使用を避け、他系統の薬剤への切り替えが必要である。
 
1 ベンズイミダゾール系薬剤耐性菌の検定結果
 平成17年11月に当センターの巡回調査ほ場から得られた罹病子実と各農業振興事務所から提供された罹病子実から分離した紫斑病菌を簡易検定に供試した。また、検定濃度は通常に使用される濃度(チオファネートメチルは700ppm、ベノミルは500ppm)でそれぞれ行った。
 この検定の結果、県内20市町、22ほ場のうち、15市町、16ほ場でベンズイミダゾール系薬剤の耐性菌の存在が確認された(表1)。これはチオファネートメチル剤(トップジンM水和剤)、ベノミル剤(ベンレート水和剤)ともに、全く同様の結果であった。このことから、本県においてもチオファネートメチル剤及びベノミル剤耐性大豆紫斑病が広範囲に発生しているものと考えられる。
 
2 耐性菌発生に対する対応
 トップジンM水和剤、ベンレート水和剤など、ベンズイミダゾール系成分を含む薬剤の使用を避け、アミスター剤、ゲッター剤、ベルクート剤、マネージ剤、スミチオンベルクート剤などの薬剤に切り替える。(参考資料参照)
 なお、同一系統の薬剤を連用すると耐性菌出現の可能性は高まるため、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
 

 
詳しくは、農業環境指導センターまでお問い合わせ下さい。
028−626−3086
 

 
 (参考資料)主な大豆紫斑病防除薬剤と系統
 ※1 ジエトフェンカルブはベンズイミダゾール系薬剤耐性菌に効果を示すため、ゲッター水和剤は有効である。
 ※2 殺虫剤の成分

農薬はラベルをよく読み、使用基準を遵守して使用しましょう